導入事例

社員の能力開発や学ぶ風土づくりに積極的に取り組む企業を取材しました

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株式会社ファミリーマート

さまざまな場面で社員の成長したい意欲を引き出す

「学ぶ風土」を醸成している組織に贈られる「通信教育優秀企業賞」。今年1社目に紹介するのはコンビニエンスストアの雄、ファミリーマートだ。その成長を支えるのが、同社が早くから取り組んできた自己啓発を教育施策の柱と位置づけた教育制度である。主に通信教育の活用法と、人財開発にかける思いを伺った。

上席執行役員 管理本部 総務人事部長
杉浦 真 氏
管理本部 総務人事部 人財開発グループマネジャー
永井 淳 氏
管理本部 総務人事部 人財開発グループ
北澤 佐知子 氏
株式会社ファミリーマート
会社名
株式会社ファミリーマート
プロフィール
1972年、西友ストアー企画室に小型店担当を設置。1973年、第1号店を埼玉県狭山市に開店。1978年、西友ストアーファミリーマート事業部発足。1981年、西友ストアーから営業と資産の譲渡を受け、同時に商号を「(株)ファミリーマート」に変更して事業開始。その後、1998年には筆頭株主が西友から伊藤忠商事グループとなる。2010年エーエム・ピーエム・ジャパンを吸収合併、2013年には国内1万店を達成。
資本金:166億5800万円、チェーン全店売上高:1兆8601億7600万円、店舗数:1万6970店(国内外エリアフランチャイズ含む)、従業員数:3896名(以上、2015年2月末)

自主的に行動する人財を育成

1972年の1号店出店以降、日本発祥のコンビニエンスストアとして、着実に店舗を拡大し、大手コンビニエンスストアに成長したファミリーマート。現在の店舗数は国内1万1450店、海外5756店と、今やグローバル企業へと成長を遂げている(2015年8月31日現在)。
そうした同社が基本理念を制定したのは、設立25周年となる2006年のこと。「ホスピタリティあふれる行動を通じて、お客さまに『気軽にこころの豊かさ』を提案し、快適で楽しさあふれる生活に貢献する」ことをめざし、1980年代末から使用している有名なキャッチコピー「あなたと、コンビに、ファミリーマート」を新たなスローガンとして掲げた。
この時に制定された「ファミリーマートの基本姿勢」に、次のような一節がある。
─私たちは、社員一人ひとりの豊かな創造性とチャレンジ精神を何よりも大切にし、自らが「感じ」「気づき」「行動する」闊達な企業風土を育みます─
同社が求める人財像は、この基本姿勢を踏まえて行動できる人財である。特に、自らが「感じ」「気づき」「行動する」 という“自主性”を大切にしており、教育においても自己啓発を重視。そしてそれを役割別教育など各種教育施策と関連づけながら、自ら学ぶ風土づくりを進めている。

ビジネスカレッジとして体系化

上記の方針のもと、同社では全社教育として、主要な教育施策を「ファミリーマート・ビジネスカレッジ」として整備し、6つの領域ごとに体系的な教育を実施している(図)。
6つの領域には、階層別・昇格時研修などを行う「ランクアップ領域」や「キャリアアップ領域」、年齢別のキャリア構築を支援する「キャリアデザイン領域」。また、グローバル人財プログラムやダイバーシティーマネジメントセミナーなどの「ダイバーシティー領域」。そして、職種別に必要な知識を学ぶ「業務知識領域」がある。
加えて、自主性を育むという面から重視しているのが「自己啓発支援」だ。英語学習支援、外部セミナー受講制度、そして通信教育制度からなるもので、誰でも、学びたい人は自由に活用できるようになっている。

図 ファミリーマート・ビジネスカレッジ体系図(2015年度版)

社員の成長意欲に応える

上席執行役員 管理本部 総務人事部長の杉浦真氏は、教育全体に対する考え方と自己啓発について、次のように述べる。
「教育の土台となるのは、OJTだと考えています。現場で管理職が部下をしっかりと育成することが重要で、厳しいようですが部下を育成できない上司は職責を果たしていないと言っても過言ではありません。
しかし、一方では上司も部下も、それぞれが自らの業務に関わる知識を補う場が必要であり、それがOff -JTであり、自己啓発です」
「社員は皆、一生懸命業務に取り組んでくれており、多忙を極めます。しかし、忙しいから学ばないというのでは、それ以上の成長は見込めません。まずは自分の仕事を見直し、業務効率を上げて時間をつくること。自分の時間は自分でつくることです。
我々は、その意欲に応える多彩な学習メニューを用意しています」
『ファミリーマート・ビジネスカレッジ』の1つの領域として「自己啓発」を設けているのは、この考えを具現化したものといえる。
また杉浦氏は、上記のような思いを、社員の学習意欲が高まるタイミングに合わせて発信もしている。
「通信教育の開講時期は当然として、他にも、階層別研修がある際の予習や研修後の知識の補完に活用してほしいと考え、研修開始時の挨拶や、通信教育の募集冊子などで積極的に発信しています」
このように、自己啓発支援制度とランクアップ領域やキャリアアップ領域の制度教育を組み合わせ、学習効果を高めることが、同社の教育施策の大きな特徴と言える。

研修前後にアナウンス

自主的な学びを支える具体策については、管理本部 総務人事部 人財開発グループマネジャーの永井淳氏がこう述べる。
「まず、研修前後でのアナウンスに力を入れています。例えばランクアップ領域の研修は、上位職の役割とその遂行に必要なマインドセットやスキル・知識の習得を行う場ですから、受講者の意識が高まっています。その前後に、自己啓発についてプレゼンする時間を設けることで、自発的な学習を促すことができます。例えば、管理職対象のランクアップ研修では通信教育『管理職基本コース』をすすめるなど、テーマに応じて効果的なプログラムを紹介しています」
同様に、「キャリアアップセミナー」の中でも通信教育を紹介している。このセミナーには、対人系、思考系など11種のプログラムがあり、受講希望者は平日の定時後(夜間コース)か、土曜日(週末コース)を選択して自由に学べる。就業時間外に開催される教育のため、参加者のほとんどは学習意欲が高く、通信教育の受講を促すには絶好の機会だ。通信教育以外にもさまざまな学びの機会を用意していることを示し、さらなる学習意欲の喚起を図っている。

多様な学習ニーズに応える

前述の通り、ファミリーマートは自己啓発支援制度を“自ら学ぶ風土”をつくるために欠かせないものと位置づけているが、中でも通信教育は19年前に取り入れた。以来、改善を重ね今日まで活用し続けている。その理由とは。
「通信教育は、多様な学習のニーズにきちんと応えられるものだからです。仕事の壁にぶつかった時、また成長の必要性を感じて学習意欲が高まった時、多彩なコースが開講されていれば、すぐに学び始めることができます。こうした、成長したい人をすぐに支援できる仕組みの構築は、人事にとって非常に重要なものと考えています」(永井氏)

活用を促す工夫

■開講時期を年2回から「通年」に
通信教育の開講(受付)は、年1回や2回という企業が多い。しかし同社では、永井氏の「成長したい人をすぐに支援」という言葉通り、年に2回(6月と12月)だった募集を、2015年度から通年に改めた。

■開講告知のメールを工夫
募集を通年で行うことには苦労もある」と、同じ人財開発グループの北澤佐知子氏は続ける。
「募集を通年にすることで、反対に“いつでも学べるから”と考えてしまう人もいるようで、そのままだと毎月の申し込みは減少気味になります。そこでアナウンスの方法を工夫するようにしています。毎月人事部から送っている募集を呼び掛けるメールに、ただ『受け付けている』というだけではなく、上期には何人、通信教育を受講・修了したといった情報も載せています。また、広報の協力を得て、受講者の声をインタビューして社内広報に載せる、といった工夫もしています」

■ガイドブックを工夫
2014年からは人財教育体系を一覧できる『ファミリーマート・ビジネスカレッジガイドブック』を作成し、全社員に配布している(写真)。これによって、全教育のカリキュラム内容(含む通信教育のコース)の詳細はもちろん、全社方針と教育の関係も明示できるようになった。
また、ガイドブックの巻頭に中山勇社長の人材育成についての考えを、巻末には人事部門のトップである杉浦氏の、自己学習を“自らへの投資”とすべきだという提言を掲載している。

通信教育の募集ガイドブックの巻頭・巻末にトップからのメッセージを掲載している。

■教育ポータルでも告知
さらに、人事部門から社員へのアナウンスの工夫として、今年度からイントラネットに教育関連のポータルを用意。そこにキャリアアップ・セミナーや通信教育のコースの詳細をアップし、社員が閲覧できるようにした。

活用の現状

年間の通信教育の受講率は、全社員の約12%、修了者には受講料の80%を補助している。
また社員だけではなく、内定者に対しても自己啓発の門戸を開いており、受けたい人が自分で講座を選べるようにしている。入社前から“知識、スキルを自らつかみ取っていく姿勢・態度を身につけてもらいたい”という人事の意向が反映されているからだ。
人気のテーマはマネジメントや財務会計といったビジネススキル系で、全受講者の2~3割がこれらを選択している。続いて語学系、資格取得系の人気が高い。
コースメニューは、どのように選んでいるのだろうか。
「現在は、教育体系と社員の学習ニーズを考慮し、全体の網羅性、汎用性を重視してコースを選定しています。
また、ランクアップ研修や選抜研修の後、上位職責者には“部下に何を学んでほしいか”、担当者には“何を身につけたいか”、アンケートを実施しています。この結果を、今後研修プログラムや通信教育のコース選定に生かしていきたいと思います」(永井氏)

自己啓発は成長のエンジン

左から、永井淳氏、杉浦真氏、北澤佐知子氏。

杉浦氏・北澤氏は自己啓発を推進する立場として、その思いをこう語る。
「我々がめざしているのは、“学習する組織”です。それを実現するためには、一人ひとりが自らの意思で学習し、継続していく必要があります。そのためにトップのメッセージを発信し、学習するための多彩なメニューを用意する。自己啓発を会社の成長のエンジンにしたいというのが、我々人事の思いです」(杉浦氏)
「私は当社の行動指針の『仲間を信じ、ともに成長しよう』という一節が特に好きで、まさに仲間である社員の皆さんに自己啓発支援制度を活用してもらい、切磋琢磨しながら、ともに成長していきたいと思っています。
ですが、特に若手社員の中には自分が何を勉強すればいいのか分からないという人もいるかもしれません。だからこそ私たち人事が、教育を整備し“求められる能力”を明確にすることで、マップを用意してあげたいのです。それを参考に、能力向上のための道筋を、自分自身でつくっていっていただきたいと思います」(北澤氏)
教育体系の多くのプログラムに通信教育を連動させ、内定の段階から自発的な学習を促す同社の取り組み。“成長したい人財”の意欲を受け止め、また意欲をつかもうとする人をさりげなくサポートしている。※掲載内容やご登場いただいた方の役職は取材当時のものです

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