導入事例

社員の能力開発や学ぶ風土づくりに積極的に取り組む企業を取材しました

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ICDAホールディングス株式会社

お客様へのおもてなしのために教養を身につけ、人間力を鍛える

「学ぶ風土」を醸成している組織に贈られる「通信教育優秀企業賞」。今回紹介するのは、ホンダ新車ディーラーからスタートし、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェの新車ディーラー、中古車販売、そして自動車リサイクル事業までを展開する国際的流通複合企業体へと発展したICDAホールディングス。同社は社員がお客様の「生涯カーライフパートナー」として貢献できるよう、通信教育を活用した自主的な学びに力を入れている。

取締役管理部長
黒田悟郎 氏
人材開発室室長
金子憲二 氏
ICDAホールディングス株式会社
会社名
ICDAホールディングス株式会社
プロフィール
1967年、三重県鈴鹿市にて向井自動車商会を設立し、1969年よりホンダ車の新車販売を開始。2009年、持株会社ICDAホールディングスに移行。2013年、JASDAQ及び名古屋証券取引所第二部上場、2014年東京証券取引所第二部に市場変更。
資本金:11億6100万円、売上高:245億円、従業員数:358名(2015年3月末現在)

上場が変えた社員の意識

「私はちょうど8年前、当社に入社しました。こちらに来てまず行ったのが、全営業社員に対するヒアリング調査です。当社はカリスマ性のあるトップが、強烈なリーダーシップで引っ張ってきた組織。そんな企業にありがちなのが、トップの思いと社員の意識レベルのギャップです。予想通りトップと社員の間には、かなりギャップがありました」と、人材開発室室長の金子憲二氏は上場以前の状況を振り返る。
トップの向井弘光氏はこの頃から既に上場をめざすと宣言していた。しかし、社員にとって現実味はなく、「上場? どういうこと?」という人が多い状態だった。そんな中でもトップが熱いメッセージを発信し続けることで、社内のムードは少しずつ変化していった。
そして、2012年頃、いよいよ上場が目前に見えてくると、社員の意識が明らかに変わっていった。取締役管理部長の黒田悟郎氏は社内の変化を振り返る。
「『夢を持て』『人生の成功哲学を身につけろ』『会社を利用して自分の夢を実現しなさい』――これらがトップの口ぐせでしたが、上場により自社の、ひいては自分自身の可能性が大きく広がるということを社員が理解しました。
また当社の社是は『我々は、すべての商品に愛情と情熱を持ち、つねに初心を忘れず、真心を持ってお客様に接しご満足していただくことを誇りとする』です。この社是に従い、お客様第一を徹底することが、自分たちの夢が叶うことにつながると、社員が気づいていったのです」

教育改革は新人・若年次から

上場は企業にとって一大転機となる。同社でも上場を機に社員の意識が一気に高まると同時に、もう1つ明らかな変化が起こった。採用面でメリットが生まれたのだ。
「上場企業となると、世の中からの見方が変わることを実感しました。中途採用を含め、当社への入社を希望する人材が底上げされたのです」(金子氏)
これを受けて、教育制度も改革した。まず新入社員の研修期間を、従来の1カ月から2カ月へと倍増。同時に、マナーや基本行動、主体性の育成を重視した体験型研修も導入された。このプログラムを黒田氏は「新入社員を鍛えて、社会人として独り立ちさせるためのノウハウが詰まったものであり、実際に受講した新入社員に聞くと、かなりインパクトの強い内容だったようで、反響もすごく良かった」と評価する。
若手に関しては、同社では以前から3年目までの研修に特に力を入れてきた。これは3年以内の離職率が以前は高かったからだが、研修を充実させた結果、離職者は目に見えて減ってきているという。

図 人材教育体系図

お客様のために人間力を磨く

全社員を対象とする通信教育を導入したのは2007年のことだ。それ以来、集合研修と通信教育を連動させ、継続的な学習を促してきた。
2014年度には、ほぼ全社員が通信教育を受講し、一度に複数のコースを受講する社員もいるほど、学習意欲が高まっている。
その理由の1つとして金子氏は、ショールームの位置づけが変わったことを挙げる。
「以前のショールームは、車が主役でした。ところが、それではおかしいのではないかと、現場から声が上がりました。主役はあくまでもお客様のはずです。そしてスタッフはお客様と、もっときちんと対話をし、おもてなしに努めるべきで、そのためには一般教養をはじめとする知識を身につけることが必要だと、社員が考えるようになったのです」
ちなみに、スタッフが接客に、より集中できるよう、システム整備も進められていた。業務の効率化を図り、ショールームで行っていた経理事務作業の5割程度を本社に集約することにより、ショールームスタッフに余裕が生まれ、学ぶ時間も確保しやすくなったのだ。
「スタッフの多くが、車関係の法律などもマスターしたうえで対話をするので、お客様からの信頼感が高まります。そうすればお客様から感謝される機会も増え、『ありがとう』という言葉が接客の喜びを生みます。その喜びは、さらに次の学びのモチベーションへとつながります」(黒田氏)

店の雰囲気が変わった

こうして、勉強する習慣が定着することで、ショールームの雰囲気はさらに変わっていった。一言で表すなら、お客様が気軽に入りやすい店になったという。
「例えばCSという言葉ひとつとってみても、以前なら『CS って何ですか?』といった反応しか返ってきませんでした。ところが今では、『CS ? 知らないから勉強しなくては』と、みんなが考えるようになってきています。そうして学んだ結果が接客に生かされることで、お客様が喜んでくださる。それがスタッフの働きがいにつながっている。良い循環が回り始めているのです」(金子氏)
変化を加速させているのが、若い店長の誕生だ。“通信教育第一世代”、つまり9年前の入社組の中から店長に抜擢される人材が出始めている。
「彼らは、自分が通信教育で学ぶことによって成長した実感を持っています。だから教育に対する理解があり、部下の教育についても意欲的に取り組んでいます。彼らは、通信教育の新規開講科目についてリクエストしてくるほど熱心です」(黒田氏)
店長の成長ぶりを受けて、経営方針が従来の集団経営から個店経営へと転換された。店長の裁量により、各店が独自のカラーを発揮するよう発破がかけられている。今後、若い店長が増えていけば、学ぶ集団としての団結力は、さらに高まるはずだ。

女性の力を接客に生かす

同社では昨今、女性の視点や能力をより経営に生かすことにも注力している。自動車営業だけでなく、整備士やサービスフロントにも女性を起用し、女性目線を生かした接客から商談、さらには整備までを手がけている。
自動車販売といえば、かつては男性の職場といったイメージが強かった。ところが実際に購買権を握っているのは女性のケースが多い。そこでショールームのレイアウト提案などは、女性に任せる店舗が増えているという。
「ショールームを女性に任せることで、従来なら考えられなかった雰囲気が醸し出されています。例えば店内にアロマの香りを漂わせるなどの工夫は、女性目線からしか出てこないアイデアです。特に軽自動車を購入されるお客様には女性が多いので、女性スタッフが接客すると気軽に話をしてくださいます」(黒田氏)――同社初めてとなる女性店長が誕生するのも、時間の問題といえそうだ。育休のための社内体制を整備するなど、働きやすい環境づくりも、合わせて進められている。

(左)ガイド表紙
(右)巻頭ページのトップメッセージ

■ガイドブック・受講料負担での工夫
今や通信教育の受講率がほぼ100%に達し、学ぶ風土が確立されている同社だが、最初からそうだったわけではない。勉強する習慣を根づかせるため、さまざまな工夫が凝らされてきた。
「試行錯誤を繰り返してきました。受講案内の冊子には、受講した社員の感想を入れ、巻頭にはトップの思いを掲載して呼びかけています。受講料についても、会社から補助を出しています。修了基準さえ満たせば自己負担なく知識を得られる点は、社員には大きなメリットだと思います」(金子氏)

■上司からの面談でのアドバイス
受講科目を決めるには、半期に一度行われる上司との評価面談が格好のアドバイスの場となっている。通信教育の新規開講講座については人材開発室から各所属長に概要説明が行われるが、これを元に上司が面談で、一人ひとりに対する期待を伝え、受講科目の相談に乗る。今後身につけてほしい能力などについて具体的に話すため、受講科目を決めやすい。

役員も読書と感想レポート

左から、黒田悟郎氏、金子憲二氏

前述の通り同社は、トップの意志が強い後押しになり上場を成し遂げ、企業風土を大きく変革してきた。当然、学習する風土づくりにも、経営層はコミットしている。
もちろん役員自身も率先して学んでいる。具体的には、全役員が同じ本を読んで、その感想文を共有するという機会を設けている。というのも、同じ本を読んでも、読み手の考え方や意識により受け止め方が変わる。感想文の共有は、そうした役員間の思考の違いを把握し、より良い意思決定に結びつけるのに役立つユニークなシステムだ。忙しい役員にとって、現場を回る合間に本を読み、感想文まで書くことは、決して楽な作業ではない。けれども、マネジメントが率先垂範する姿勢を見せることが、社員の意識を高める。
「店長の世代交代が進むにつれて、店長自ら通信教育の受講や、グループでの受講を勧める動きも出始めています」と金子氏は、学習する組織が定着しつつある手応えを語る。
人材育成全体の課題としては、2つ認識していると黒田氏。
「1つは入社3年目以降の研修です。3年目以降からの教育プログラムが少ないため、強化の必要性を感じています。
2つめは研修センターの設置です。用地も手当しているので、できる限り早い時期につくりたい。学ぶ意識が定着しつつある中での場の整備は、学ぶ風土を一層強固なものとするはずです」
トップから現場社員に至るまで、学ぶことに熱い思いを持つ同社。その源泉はおもてなしの心と、自分たちの夢のようである。※掲載内容やご登場いただいた方の役職は取材当時のものです

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